心理学BEST100(内藤誼人著)の内容など
心理学BEST100 内藤誼人(ないとうよしひと)
今回ご紹介するのは、内藤誼人さんが著した、心理学BEST100です。
内藤さんは一般向けの心理学の本をたくさん書いており、最近注目されている心理学者です。本書についても、全体的に日常に心理学をどのように応用するか」という観点から平易に書かれており、大学等で心理学を学んだことが無い方でも興味の持てる内容となっております。
仕事や日々の生活における心理テクニックについて、著者が厳選した100個もの内容が書かれているため、きっと興味のある内容も見つかるはずです。
詳しくは本書を読んで頂ければと思いますが、個人的に面白いと思った内容をいくつかご紹介しましょう。
【内容】
〇イヤなことをするときに楽しむコツ
イヤなことをしているとき、「楽しめたら、どんなに楽だろう!」と思ったことはありませんか?
本書では、そのような願望に対して、アイディアを呈示してくれます。
・イメージング
例えば、野球の練習が嫌いな場合、「楽しく練習している姿を具体的にイメージする。」というような方法があります。「具象イメージング」と呼ばれる方法です。
・セルフトーク
もう一つの方法として、「セルフトーク」と呼ばれるものがあります。
練習が嫌いな場合、「私は練習が好きだ!」というように自分に言い聞かせる方法がセルフトークです。
自分が嫌いなものについては、無条件に嫌い、というイメージをもってしまっています。イメージングやセルフトークは非常にシンプルですが、脳科学的にも効果が認められている方法です。
私たちが日ごろ考えていることは、反復して考えているからこそ、考えとして固定されます。われわれの思考にも癖、というものがあるのです。そうした癖を矯正する、という意味でイメージングやセルフトークは非常に効果的であると思います。
お金も一切掛からないのも素晴らしい点ですね。
とは言っても、自動思考に陥ってしまっている場合、ひとりでに「勉強嫌だなぁ」「仕事嫌だなぁ」といった言葉が口をついて出てしまうかもしれません。
そのような時は、ネガティブな独り言に対しては、自分で自分に反論することも有効だそうです。例えば、勉強、嫌だなぁ、という独り言が出てしまいそうですが、そんな独り言が出た、もしくは、そんな考えが頭をよぎった際に「でも、、」と自分に対して言うことで、ネガティブな考えに対して反論するという方法です。
例えば、「練習が嫌だ。」という独り言が自然と出てしまったときには、「練習が嫌だ。でも、練習を続けることで今よりも上達できる。」というように、ネガティブ→ポジティブなワードで締めくくるような方法です。ネガティブな自動思考を矯正するために役立ちそうな方法です。
〇理想の自分に近づくために
誰しも、理想の自分と現実のギャップには苦しんだ経験はあると思います。本書では、理想の自分に少しでも近づくために有効な心理学的アプローチとして、「プライミング効果」を紹介しています。
プライミング効果を簡単に言い換えると、自分への「刷り込み」です。
考えていることは無意識のうちに行動にも表れます。
たとえば、面白い心理実験で、老人について考えただけで、行動が鈍くなる、遅くなるというものがあります。
この性質は、「なりたい自分になる」ために応用できる、というのが本書の立場です。
なりたい自分を絶えず意識することで、自分の潜在意識に刷り込み、行動を変えていく、というのがこのプライミング効果の目的です。
人前で堂々と話せるようになりたいのであれば、TEDの一流スピーカーを思い浮かべて話す。筋トレで成果を上げたいなら一流のトレーニーを思い浮かべてトレーニングをする、というのも有効だと思います。
【まとめ】
本書を読んで改めておもしろいと思ったのは、人間心理が脳と身体、一体となって形成されていくということです。
例えば、笑顔でいる時にマイナスな事を考えるのは至難の技です。また、上を向いている時にマイナスな事を考えるのも同様に難しいです。
身体の状態が脳に与える影響はとてつもなく大きいのですね。
だからこそ、「上を向いて歩こう」という坂本九さんの曲は素晴らしいと思えます。上を向いて歩けば、そもそもマイナスな事柄を連想する事が難しい訳ですから。
英語で、頑張れ、元気を出せという事をKeep your chin up!(顎を上げて)などと言ったりするのはこのためですね。
今回ご紹介したのはほんの一例ですが、本書では人間関係や仕事などに役立つ心理学メソッドが文字通り100も紹介されています。「これは使える!」と思えるものが必ず見つかると思います。
ぜひ手に取って読んでみてください!