読書の森〜ビジネス、自己啓発、文学、哲学、心理学などに関する本の紹介・感想など

数年前、ベストセラー「嫌われる勇気」に出会い、読書の素晴らしさに目覚めました。ビジネス、自己啓発、文学、哲学など、様々なジャンルの本の紹介・感想などを綴っていきます。マイペースで更新していきます。皆さんの本との出会いの一助になれば幸いです。

知識ゼロでも楽しく読める心理学(西東社)

知識ゼロでも楽しく読める心理学(西東社

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今回ご紹介するのは、「知識ゼロでも楽しく読める心理学」です。心理学について、日常に活用できる考え方、モチベーションやメンタルヘルスにフォーカスして書かれているのが特徴です。非常に読みやすい内容でおすすめです。

簡単に概要をご紹介します。

 

〇モチベーションについて

人間のモチベーション=動機付けについては、大きく大別すると二種類あります。

〇外発的動機付け

 報酬、社会的評価、環境など、主に達成することに伴う報酬(金銭や社会的評価など)を期待して生じる動機。

 

〇内発的動機付け

知的好奇心(~をしたい)や理想に近付きたいなど、内的な理由に基づく動機。

 

そして、動機付けとして、より強いのは内発的な動機付けであるといいます。外発的な動機付けはあまり長続きしないとされています。

 

〇ドレス効果

ドレス効果とは、制服を着ると強気になるという効果です。警察官が制服を着るのも、実際的な心理効果があるからです。また、制服には役割を強調し、権威付けを行うという役割があります。医師が白衣を着る理由、ビジネスマンがスーツを着る理由、僧侶が袈裟を着る理由もこの効果があるからに他なりません。

この、「役割」が人間の行動に影響を与えたことを実証した実験として、スタンフォード監獄実験が挙げられます。スタンフォード監獄実験とは、1971年アメリカ、スタンフォード大学心理学部で行われた実験で、被験者の大学生を看守役、囚人役に分け、それぞれに役割を演じさせたものです。

2週間の間に、看守役は囚人役に対して徐々に行動をエスカレートさせ、ついには禁止されていた暴力行為まで発展してしまったため、実験は中止されました。

制服・役割が人間心理に与える影響は非常に大きいと言えそうです。

 

ポジティブ心理学

PERMA

ポジティブ心理学」にはポジティブになるための重要な要素の頭文字を取って、PERMAがあります。

Positive emotion  ポジティブな感情。

喜び、笑い、感謝など

Engoverment  没頭

興味のある活動に時間を忘れて没頭し、夢中になること。

仕事の効率性、生産性UP

Meaning 意味

自分の活動が人生や社会にとって有意義であり、重要であると思えること。

Achievement 達成

 

フロー理論

ポジティブ心理学の中にフロー理論と呼ばれるものがあります。

フロー理論とは、フロー体験(没頭している状態)が心をポジティブにするための鍵であるとする理論で、心理学者のミハイ・チクセントミハイが提唱した理論です。

フロー体験を得るためには、以下の様な条件が必要とされます。

・明確な目標があること

・高いレベルで集中出来ること

・自意識を失うほどの集中

・時間の感覚を失うこと

・結果がフィードバックされること

・目標に本質的な価値があること

・目標達成のためにチャレンジが必要なこと

・状況を自分で制御出来ること。

 

コーピング理論

ストレスを回避するための理論として、コーピング理論というものがあります。

コーピング理論については、以下2種類のアプローチがあります。

〇問題焦点型コーピング

原因の解決に焦点を当てたもので、ストレスの対象そのものの解決を目指すアプローチです。家族・友人への相談、支援の要請も必要になります。

〇情動焦点型コーピング

情動焦点型コーピングは、感情の制御に焦点を置くものです。ストレスに対する見方を変える、趣味や旅行などでリフレッシュを行うといった方法です。

 

HSPについて

HSPとは、High Sensitive Personの頭文字を取ったもので、近年、「繊細さん」と呼ばれ、徐々に認知されてきているものです。

HSPの人の特徴は、過剰な刺激を受けやすい(何気ない人の言葉に傷つく、映画、音楽に深く感動する。)かすかな刺激に反応しやすい(音、光、匂いなどに敏感)、感情反応が強く、共感力が高い、また、人混みや騒音、揉め事が苦手といった特徴があります。

ストレスを感じやすい反面、人の気持ちをよく理解でき、優れた感性を持っていると言えます。

HSPの人がストレスを感じた時には、ストレスを感じた内容を紙に書きだすなど、マイナスの感情を言語化すると効果的であると言えます。

 

ピグマリオン効果

ピグマリオン効果とは、相手に期待を込めると、期待を込められた相手は、その通りの効力を発揮しやすいというものです。ピグマリオンとは、ギリシャ神話の登場人物の名前です。現実の女性に失望したピグマリオンは、自ら彫った女性像に恋し、像が人間になることを願います。その願いが神によって叶えられるという話です。

アメリカの教育心理学者、ローゼンタールが提唱した効果です。

他者から期待を掛けられることでそれに応えようとする心理が働く、という効果であるため、企業の人材教育やマネジメントにも有用な考え方と言えそうです。

反対に、期待されないことで成績などが下がる効果をゴーレム効果といいます。

 

本書では、他にもアドラー心理学進化心理学行動経済学パブロフの犬実験など、

多岐に渡る内容が分かりやすく紹介されています。気になった方は是非読んでみてください!