読書の森〜ビジネス、自己啓発、文学、哲学、心理学などに関する本の紹介・感想など

数年前、ベストセラー「嫌われる勇気」に出会い、読書の素晴らしさに目覚めました。ビジネス、自己啓発、文学、哲学など、様々なジャンルの本の紹介・感想などを綴っていきます。マイペースで更新していきます。皆さんの本との出会いの一助になれば幸いです。

グレート・ギャッツビーの感想など(光文社古典新訳文庫)

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【小説】グレート・ギャッツビーの紹介

今回は、「英語で書かれた20世紀最高の小説」で第2位を獲得(モダンライブラリー発表)したグレート・ギャッツビーを紹介します。スコット・フィッツ・ジェラルドの代表作です。

 

小説家の村上春樹さんも「一番好きな小説」として、この「グレート・ギャッツビー」を挙げています。

 

自分も読んでみましたが、まさに20世紀最高の作品と呼ぶに相応しい作品でした!!

是非とも多くの人に読んでもらいたい作品です!!

 

ストーリーは読みながら楽しんでもらいたいため、今回はネタバレはせずにあらすじ・見どころをご紹介します。

 

物語のあらすじ

物語の舞台は、激動の1920年代のニューヨーク。物語の語り手は中西部で三代続く名門、キャラウェイ家に生まれた、ニック・キャラウェイ。ニューヨークの証券会社に勤め、ロングアイランドのウェストエッグという街に住んでいた。

ニックの近くにはギャッツビーという男が豪邸に住んでいた。ギャッツビーは夜ごと派手なパーティーを開催していた。

ある日、ニックはギャッツビーから招待を受け、パーティーに参加し、次第にギャッツビーと親しい関係になっていく。

ニックはギャッツビーと関わるうち、彼の意外な過去と長年の想いを知ることになった。

グレートギャッツビーの登場人物

・ニック・キャラウェイ

物語の語り手。ロングアイランドの住人。ニューヨークの証券会社に勤めている。ギャッツビーの隣人。

・ジェイ・ギャッツビー

謎が多い富豪の青年。戦争に従軍していた過去もある。ウェストエッグにある豪邸で連日人を集めてパーティをしている。

・デイジーブキャナン

ニックの大学時代の友人、美人で奔放な性格。トム・ブキャナンの妻。裕福な家の生まれで高級住宅街のイーストエッグに住んでいる。

・トム・ブキャナン

デイジーの夫。ニックとは大学時代の友人。大学時代はラグビーもやっていて体格が良い。態度は横柄で豪胆な性格。

・ジョーダン・ベイカ

デイジーの昔からの友人で、プロゴルファー。ニックと仲良くなる。

・マートル・ウィルソン

トムの愛人。

ジョージ・ウィルソン

マートルの夫。「灰の谷」で自動車修理屋を営んでいる。

・マイヤー・ウルフシャイム

ギャッツビーのビジネスパートナー

 

物語の見どころ

~ギャッツビーと登場人物~

謎多き青年、ギャッツビーは非常に魅力ある人物で、読んでいくうちにどんどんと引き込まれます。ギャッツビーの過去は特に謎に包まれており、風変りな噂も絶えません。

例えば、パーティーではギャッツビーについてしばしば、「過去に人を殺したことがある」「戦争でスパイをしていた」など参加者から噂をされています。

ギャッツビーの過去、そして現在の目的といったところが物語の見どころでしょう。

小説の冒頭で物語の語り手、ニック・キャラウェイはギャッツビーについて次のように述べています。

もし人間のありようが外からでも見える行動の連鎖でわかるなら、ギャッツビーは華麗なる人物だったと言えよう。好機を見逃さない感度があった。一万マイル先の揺れをとらえる地震計に近いような高感度だったかもしれない。

だが、そういう感性は、よく「芸術家タイプ」として持ち上げられる、やわな感受性とは別物だ。どこまでも絶望しない才能なのである。精神がロマンチックにできていた。あんな男には会ったことがないし、これからまた会うとも思われない。

そのほかの登場人物も非常に個性が際立っていて魅力的です。人物像の描写力も見事で、まるでその人物が目の前に姿を現したかのように鮮明に浮かんできます。

デイジーやトムといった登場人物も非常に魅力のあるキャラクターで、作品に深みをもたらす存在です。

 

~情景描写・文章力~

フィッツ・ジェラルドの類まれな文章力・情景描写力が本書をより一層魅力あるものにしています。

名文の一部をご紹介しましょう。

太陽が降りそそぎ、新緑が-まるで早回し映像のように-どっと勢いを増す。

黄昏の大都会という魔法の国では、やりきれない淋しさを覚えることもあった。いや、私だけではあるまい。若い勤め人が、ウィンドーのならぶ街路をぶらついて、一人でレストランへ行くまでの時間をつぶす。宵闇の迫る街で、いい若い者が切ないほど貴重な夜の時間を無駄にする。

黄水仙の香りがはじけ、サンザシとプラムが匂い立ち、パンジーが淡い金色の気を振りまく。

大きな橋を渡る。橋梁を突き抜ける日射しが、行きかう車をちらちら光らせ、川の向こうには大都会が、白く、うずたかく、角砂糖のように立ち上がる。

まるで文章の魔術師の様なフィッツ・ジェラルドの文章力には舌を巻きます。

ニューヨークの摩天楼、高級住宅街の情景が目に浮かんでくるようです。

奥深いストーリーとフィッツジェラルドの文章力を味わいたい人は是非グレート・ギャッツビーを読んでみてください!!